Memory/k
始まりの予感
2016年の春、高校生になった。
高校の前に着いてから中学のスニーカーで出てきてしまったことに気づき、ローファーに履き替えに急いで家に戻った。まだ硬いローファーに足を痛めながら、遅刻気味で入学式に出席したのを覚えてる。1年6組25番
高校の前に着いてから中学のスニーカーで出てきてしまったことに気づき、ローファーに履き替えに急いで家に戻った。まだ硬いローファーに足を痛めながら、遅刻気味で入学式に出席したのを覚えてる。1年6組25番
写真部に入る
クラスで私の斜め後ろの席に座っていた女の子と友だちになった。「部活入る?」「写真部入ろうか悩んでて」「私も!一緒に見学行かない?」
放課後、その友だちと写真部へ。部室は5階の一番奥、工芸室だった。先輩が貸してくれたカメラで撮り方を教わったんだけどその練習がすごく楽しくて。割と早い段階で写真部に入ることを決めた。
校内にネコ
赤い首輪を付けた白いネコ、初めて出会った時は大興奮だった。色んな呼び名があったけど、私は“はにまる”と呼んでいた。
夏色の波紋
授業で水泳を取っていなかったし水泳部でもなかったから、学校のプールの場所すら知らなかった。そしたら何だかプールを間近で見たくなってきて、水泳部の友だちに頼んで中に入れさせてもらった。太陽に照らされて輝く水面に見とれる。そのまま制服で飛び込んでしまいたかったなぁ。
写真甲子園2018
高校写真部が全国一を目指す大会、「写真甲子園」の最終審査に見事通過。本戦大会開催地は
北海道の東川町で、とにかく広くて美しい場所だった。大会結果はまさかの“準優勝”。今までにないくらいのすごく大きなお土産話になった。
準備日
“文化祭”は準備日が一番ワクワクした。装飾で使う大量のダンボールがそこら中に散らばって、生徒の手足が絵の具やチョークでカラフルに染まる。教室からの拍手、廊下のはしゃぐ声、ラウンジで演奏する軽音部。これらの景色が見えて音が聞こえて、ふいに高校生を実感する感覚が今でも忘れられない。
時の流れ
お昼の時間、イチョウの木の下にレジャーシートを敷いて友だちとよくお弁当を食べていた。少し冷たい風にあたりながら、散ってゆくイチョウをぼーっと眺めて、秋が終わってしまう寂しさを感じていた。
雪景
期末テストの日、登校してから静かに雪が降り始めた。こちらでは珍しい雪にテンションが上がり、テスト中に何度も窓の外を眺めていた。テストが終わると生徒たちはすぐに教室を出て行ったがそのまま帰ってしまったので、私はひとり学校探検をしていた。
高校生の日常に溶ける
徐々に迫る“卒業”にじわじわと危機感を感じていた。本当に卒業しなくちゃいけないのか、そんなことばかり考えながら、毎日を刻むように過ごしていた。
卒業
教室も廊下も体育館も部室も、全部が私の宝物になった。同じ制服を着て当たり前に通っていた日々が終わってしまった日。でもこうやって思い出を置いていくみんながキラキラして見えて、卒業も悪くないのかもって少し思えたんだ。
2019.3.1